最終更新:2020年9月19日
ビーアンドピーとはどんな会社
- ビーアンドピーは大型インクジェットプリントに特化した出力事業を行なっている会社である。
- 事業は主に二つの形態に分かれており、一つは店舗用ディスプレイやイベント告知ポスター、ビル壁面垂れ幕などの「広告分野」。もう一つはフローリングやドア、インテリア壁紙などの「生活資材分野」だ。合わせて年間48000件を納品している。
- 現在のところ「広告分野」が主力となっており、売上の83%を占めている。続いて「生活資材分野」が15%となっている。残り2%としてネット販売なども少し行なっている。
上場:2019年7月
セグメント構成:広告分野83%、生活資材分野15%、その他2%
ビーアンドピーの過去の業績推移
売上高の推移
- 売上高はこの5年は基本的に右肩上がり。
- ただし、若干カラクリがあるようだった。同社は2018年に、100%子会社だった株式会社ニコールを吸収合併している。この吸収は2018年の期中に行われたことにより、一部期間においてニコールの収益が反映されていない。この点を考慮し、ニコールの収益を反映させると2018年の売上高は29.85億である。
- したがって、同社の売上推移としては、2018年にニコール分で売上を伸ばしているが、それ以外の時期では微増と判断できる。特に、2018年から2019年にかけては前年比0.9%の微増である。
- また、上記は2020年10月期、第三四半期までの売上高である。3Qはコロナの影響を大きく受けているが、影響のなかった1Q、2Qでも前年同期比で売上減である。
- コロナが無かったとしても、売上は頭打ちで、大きな上昇は見込めなかっただろう。
営業利益推移
- 2015年から2017年は高い営業利益率19%で安定していた。
- 2018年はニコールを吸収したことで、営業利益が大幅上昇した。営業利益率も23%と上昇しており、かなり優秀である。
- 2019年は売上高はほぼ前年並みだったが、営業利益は大きく減少した。要因は販売管理費の増加である。詳細を見ると、人件費が前年比で1億近くも増えていた。それにより利益が圧迫され利益率は14.2%まで低下した。ただし、それでもまだ優秀な利益率ではある。
- 2020年は、売上減少で利益も低下し、3Q時点で前年同期比40.5%減益だった。営業利益率も10%を割る見込みだ。
EPS推移
- EPSは、利益を大きく伸ばした2018年で最高値をつけるも、2019年の減益で大幅低下
- 2020年も、3Q実績から算出した通期予想で84円程度になる見込みだ。
ROE推移
- 経営の上手さを表す指標であり、10%を超えると優秀とされるROEだが、常に10%を超えており、優秀と判断できる。ただし、2020年は10%を一時的に割ってしまうだろう。
株価推移
- 2019年7月に上場してまだ1年ちょっとしか経っていないが、株価は上場直後に2300円前後で最高値をつけている。
- 上場したタイミングは業績も絶好調だったのだが、その後利益縮小とともに売り優勢となり、株価は下落基調だ。コロナ影響も受け2020年3月には700円を割るところまで急落だ。
- その後、若干戻し、2020年9月18日現在1175円をつけている。2019年のEPS149円で算出したPERは7.9倍と数値上は割安水準。ただし、2020年の推定EPS84円を用いると、14.0倍とほぼ適正水準か。
経営計画・今後の展望
- 重点施策として、全国主要都市に営業拠点を作ったりWebマーケティングによってビジネスを拡大させること。オートメーション化による生産力を強化することなどを挙げている。
- それを踏まえて、現在売上の15%を占めている「生活資材」分野を拡大させる方針である。また、次の段階として、3Dプリント製品や建材業界への製品展開も考えているようだ。
配当・株主優待
まとめ・投資判断
- インクジェットプリンターによる、広告や生活資材への出力を事業としている会社である。
- 直近の売上高の推移は株式会社ニコールの吸収合併を除けば、微増である。
- 売上は頭打ちの様子だったところに、コロナ打撃を受け、業績は減速してしまった。
- 今後は、「生活資材」事業の拡大、新事業への展開などを考えているようであるが、成長事業としている「生活資材」に関しても、近年は大きく上昇している様子はない。(売上高のところに貼った図を参照)
- したがって、将来性を期待して買うにはまだ材料が弱く、株価を押し上げるエンジンとはならないだろう。少なくとも、四半期ごとの売上推移を追い、成長見込みがもう少し現実的になってきてからでも、投資するのは遅くはないと思う。
- また、一時的なコロナ影響を度外視するため、2019年のEPSを用いたPERを見ると、7.9倍と数値上は割安である。ただしこれは、成長性を疑問視している投資家心理によるものと考えられる。
- 実際、近年は売上高は頭打ちの様子であるし、PERが低くなるのには十分な材料だと思う。また、マザーズ銘柄を選定する理由としては、成長性の高い銘柄からのインカムゲイン狙いがほとんどであるので、割安なだけで「買い」とはならない。
- したがって、主に成長性がまだ半信半疑であることによって、投資判断としては「見送り」としたい。同社が成長事業と置いている「生活資材」領域の四半期決算を追っていき、成長が数値として現れ出してから、再度検討をしたいところだ。
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