【6618】大泉製作所 銘柄分析 センサで世界を測る、未来を拓く

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最終更新:2020年10月13日

 

大泉製作所とはどんな会社

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  • 大泉製作所はサーミスタを製造・販売する企業だ。
  • サーミスタとは上図に記載の通り、「温度変化に対して極めて大きな抵抗変化を示す半導体セラミクス」のことである。この特性を利用して温度センサーに用いられている。
  • 同社はサーミスタ利用の温度センサを自動車、空調機器、家電製品向けなどに広く販売している。
  • 事業構成としては「自動車」、「空調カスタム」、「エレメント」の3事業に分類される。いずれもサーミスタ利用の温度センサー販売に変わりはないが、用途ごとに分類されているということだ。
  • この中で現在の主力は「自動車」用途であり、売上構成比の62%を占める。自動車にはエアコン用、EVモータの温度検知用、ラジエーター水温検知用など温度センサが必要な部品はたくさんあるのでイメージはしやすいだろう。
  • 「自動車」用途に続くのが「空調カスタム」用途であり、売上構成比31%を占める。この領域では主にエアコン向けの温度センサを販売している。
  • 最後は「エレメント」用途で、売上構成比は7%だ。ここでは家電向け、光通信のインフラ向けとして販売されている。例えば、5Gの通信インフラ用の需要は最近になって高まっている。

www.ohizumi-mfg.jp

東証33業種分類:電気機器 時価総額順位213位/247位

時価総額:46億円 マザーズ市場261位/330位

上場:2012年6月

セグメント構成:自動車62%、空調カスタム31%、エレメント7%

 

大泉製作所の過去の業績推移

売上高の推移

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  • この5年間の売上高は基本的に横ばいで、ほぼ変化なし。
  • 事業構成ごとに見ても、2016年から2020年にかけて、「自動車」事業で57%→62%、「空調カスタム」事業で29%→31%、「エレメント」事業で14%→7%と大きな変化は無い。
  • このように直近では販路を拡大できていないことからも、現在の市場はほぼ飽和状態と考えられる。売上が販売先の需要に依存してしまうのが、BtoB製造業の宿命だろう。
  • 2021年3月期決算の第1四半期決算(4月〜6月期)では、COVID-19の影響を受けて前年同期比31%減収。営業利益も赤字転落となった。ただし、外的要因による減収減益なので長期的に見たら大きな問題ではない。

 

営業利益推移

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  • 2016年から2019年は営業利益率の伴い、営業利益も右肩上がりとなっていた。この要因として、不採算取引の削減、工程改善による合理化などが記載されていた。
  • 2020年は営業利益率および営業利益が前年比で下落した。主に米中貿易摩擦による国内自動車の生産調整が要因だ。
  • このように外的要因による下落はあるが、長期的には2019年の6%近い営業利益率になると想定される。
  • 一方で、現在はEVなどの二次電池向けのラインを中心に成長への先行投資を行なっている。2019年においては設備投資4.7億円、減価償却費3.9億円、技術研究費3.7億円を計上している。ここへの先行投資がなかったとした場合、2019年で19億円の営業利益、営15.8%の営業利益率を出せる計算になり、極めて優秀な水準である。ここの先行投資状況は随時追っていきたい。

 

EPS推移

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  • EPSは営業利益に準じて、2019年までは上昇傾向だ。
  • 2016年は2円と低いが営業損益が多かったためであり、気にする必要はない。
  • 2020年は営業利益の箇所で述べた要因で下落し26.4円となった。

 

ROE推移

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  • 経営の上手さを表す指標であり、10%を超えると優秀とされるROEだが、2017年〜2019年では10%を超えており、優秀と判断できる。
  • 2016年は営業外損益が大きいためROEも低値だが度外視で良い。
  • 2020年は米中貿易摩擦の影響を受けたが、それでも10%超えと優秀である。
  • 2021年3月期はかなり落とすだろうが、長期的には20%前後で推移するのではないか。

 

株価推移

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  • 2012年6月に上場して以降、時折大きな上昇を見せているが、長期的に見たら特に方向感のない動きが続いている。
  • 2017年10月に高値1370円をつけてから近3年は下落トレンドが続いている。
  • 現在の株価は560円となっている。2020年のEPS26.4円を用いるとPERは21.2倍と若干割高感がある。ただし、2020年は外的要因の影響を受けてEPSを落とした時期だ。
  • 外的要因が無ければ2019年並みの業績を上げれると仮定すると、2019年のEPS67.0円を用いてPERは8.4倍と割安水準である。
  • おそらく外的要因による一時的下落は株価に折り込み済みであり、長期投資の視点では2019年のEPSで算出するのが感覚的に正しいと思う。この時のEPSで見て、PER8.4倍と割安水準なのは、長期的に売上成長のない地味な業績が嫌われているのだと思う。

 

経営計画・今後の展望

  • 販売先の需要に応じて売上の増減はあるが基本的に今まで通りの販売を続けていくことになる。2021年3月期は現時点で、売上高前年比マイナス12%の100億円、営業利益は赤字転落を見込んでいる。ただし、主力の自動車は下期で昨年並みまで回復をすると予想しており、下落は限定的になりそう。
  • 直近では「エレメント」事業が大きな伸びを見せている。5G向けの需要増で、第1四半期で前年同期比プラス47.2%と好調である。まさに今が5Gインフラ整備のタイミングであり期待が大きい。
  • 長期で見た場合は、EVなどの二次電池向けの需要増が期待できる。自動車のEV化は世界で加速しているし、下記の記事によると二次電池市場は2035年には現在の7.4倍に拡大が見込まれるようだ。ここは同社が先行投資で力を入れている領域で、需要増に対応する準備もできている。今後の成長が楽しみな領域である。

response.jp

 

配当・株主優待

  • 2020年3月期の配当は8円である。配当利回りは1.4%とやや低め。
  • 2021年3月期の配当は未定となっている。

 

まとめ・投資判断

  • サーミスタ利用の温度センサーを製造・販売する会社であり、自動車事業、空調カスタム事業、エレメント事業の3事業を持っている。
  • 近5年では売上成長なしで、事業構成もほぼ変わっていないことから、現在の市場は飽和気味と考えられる。
  • 一方で、「5Gインフラ」向けは今が旬だし、同社が先行投資に力を入れている「二次電池」向けも長期的には期待が大きい。
  • このような期待感を感じる一方で、2019年のEPSで算出したPERは8.4倍と割安水準である。売上高の上昇が無いことで嫌われているのか、単に投資家にまだ見つけられていないだけのように思う。
  • また、最近は年間12億円規模の先行投資を行なっており、この費用が回収されれば15%以上の営業利益率を出せることになり、PERも3倍台とかなり割安水準を示すことになる。さらに、この数値には二次電池向けの温度センサ販売が含まれていない。二次電池向け温度センサの販売を加味したら売上高もさらに上昇するだろうから、その点での期待も大きい。
  • 上記のPERは、業績の良かった2019年のEPSを用いた仮計算ではあるが、長期的には2019年並み業績は出せるように思うので、割安株と判断したい。
  • さらに、5Gインフラ向け、二次電池向けと成長性も期待できる。ただし、実際どの時期にどの程度の売上になるかは明らかでは無いので、株価に反映されるには時間がかかるかもしれない。
  • また、2021年通期では赤字予想なので、株価が上がるのには時間がかかるかもしれないが、割安成長株として「ウォッチリスト」に入れておきたい。

 

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