【3541】農業総合研究所 銘柄分析 農家とスーパーを繋ぐ「農家の直売所」事業を展開!

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最終更新:2020年9月13日

 

農業総合研究所とはどんな会社

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  • 農業総合研究所の主力は「農家の直売所」事業である。これはいわゆる農作物の卸売事業だ。研究所と社名に付いているが、何かを研究しているわけではないようだ。
  • 同社は、生産者とスーパーマーケット等を繋ぐ役目を担っており、新鮮な農作物を都市部のスーパーマーケットを中心としたインショップ形式の直売所で委託販売するプラットフォームを提供している。
  • 現在、全国9000人を超える生産者と、1500を超える直売所を繋いでいる。

www.nsk-farmer.com

東証33業種分類:卸売業 時価総額順位165位/330位

時価総額:130億円 マザーズ市場130位/327位

上場:2016年6月

セグメント構成:農家の直売所事業100%

 

農業総合研究所の過去の業績推移

売上高の推移

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  • 2015年以降、売上高は右肩上がり。
  • 年平均37%の驚異の成長率で、4年で3.4倍に成長。急速に販路を拡大している。
  • 下記に導入店舗数、登録生産者数の推移を示すが、これらの増加が売上増加に直結している。
  • ただ、2020年8月期決算は32億を計画しており、最高売上更新ではあるものの前年比3%増加の微増であり、成長鈍化の傾向が伺える。
  • 新型コロナの影響はプラスで、野菜と果物の流通量が増加した。一時的に外食を控えて自炊する人が増えたためと思われる。

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営業利益推移

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  • 営業利益および営業利益率ともに乱高下している。
  • 直近の最高益は2016年で、営業利益率も13.05%と高い。
  • 2017年には売上高は上がったが、その分人件費や物流費などの販売管理費も上昇し、利益率は低下した。
  • 2018年には更なる利益低下で赤字転落。約1億の赤字となっているが、積極的な事業投資のためであり、期初計画通りである。投資内容は、①物流のための自社センター開設、②ITシステム構築、③人材の積極採用、の3点である。(③番は投資というより単に人件費が増えただけと思う。)
  • 2019年には以前として事業投資は継続しており、黒字転換ながら利益はわずか。前年比で改善した要因は、正社員採用からパート採用に切り替えたことで人件費を抑えたことによる。
  • 2020年8月期決算では営業利益-0.4億計画と、直近と比べて大きな変化はなし。
  • このように、近年は売上高は順調に増えているものの、利益を出せるビジネスを行えていない。実際、人件費は永続的に効いてくるので2017年までのような高収益体質に戻るのは難しいかもしれない。
  • また、2017年決算で出した中期経営計画では2020年決算で3.6億の利益を目標に掲げていたが、大きく遅れているようだ。今後、投資効果が現れて、利益率が改善されるのか、様子を見たいところだ。

 

EPS推移

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  • EPSも営業利益に連動して大きく乱高下している。特に直近2年の値は数値的な意味を持たないので無視でいい。

 

ROE推移

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  • 経営の上手さを表す指標であり、10%を超えると優秀とされるROEだが、直近で利益を出せる構造になっていないこともあり、使えるデータとはなっていない。

 

株価推移

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  • 2016年6月に上場してから、特に方向感の無い動きが続いている。
  • 2019年1月に高値1126円をつけているが、その後は下落基調のようだ。
  • コロナショックでは237円まで落とし、現在は618円と戻している。かなりボラティリティは高い。
  • 現在の株価618円だが、直近のEPS0.67を使うと、PER922倍と異次元の値になってしまう。ただし、直近で利益を上げていないからであり、ほぼ無意味な値である。
  • 仮に投資効果が現れ、収益体制が改善して営業利益率10%になったと仮定すると、3.1億の営業利益となる。純利益はここから少なくなるのだが、概算なのでこのまま3.1億の純利益になると仮定する。発行株式数は約2000万株なので、1株利益(EPS)は約15.5となる。
  • 現在の株価を仮のEPSの15.5で割ると、直近のPERは約40倍となる。実際10%の利益率も甘めに見積もった値なので、かなり割高であり、数年後の株価を先取りしている状況といえる。

 

経営計画・今後の展望

  • 今後の計画として2点を掲げている。1つ目は、物流費の負担方式の変更である。これまでは、出荷額に対して一律8.5%の物流費を負担してもらっていた。これでは、生産物の相場が下落した局面では、出荷額の下落に伴なって物流費も減ってしまう。この時に物流費の会社負担が発生していたとのことだった。これを、コンテナあたり課金に変更することで、生産物の相場に関係なく、安定して物流費を回収できるということだ。
  • 2つ目は、バラ出荷方式(袋詰、シール貼り、商品振り分けなどを委託できる自由度の高い出荷方式)の導入だ。これは生産者の出荷促進に繋がるとのことだ。
  • 以上2点の計画を立ててはいるが、基本としては生産者数、店舗数を増やすことと、利益率を改善することが重要となる。
  • 市場としては全国の農家は200万戸あり、まだ登録生産者9000人はまだ0.4%。拡大余地は大きい。

 

配当・株主優待

  • 配当金や株主優待はなし。
  • 成長過程にあるため、利益は内部留保の拡大や事業投資に当てることを基本方針としている。
  • 将来的に配当金を出す方針としているが、実施時期は未定。

 

まとめ・投資判断

  • 直近では年平均37%と驚異の売上増加率である。
  • ただし、近年は事業投資や人件費の増加などもあり、利益率は低下している。
  • PERは、仮に利益率10%と甘めに見積もっても40倍と割高であり、数年後の株価を先取りしているようだ。利益率5%ならPER80倍と更に割高である。
  • 今後も、近年と同様の成長率を維持できるなら適正水準とも考えられるが、2020年8月期決算で売上増加が3%と成長鈍化傾向になりつつあるのが気になるところ。
  • 拡大余地は十分にある市場であるが、①成長鈍化の兆候があること、②現状の利益率が低く改善の見込みが不明確なこと、③株価が割高であること、この3点から、投資判断としては「見送り」としたい。
  • 少なくとも2020年8月期の決算および2021年計画を見て、収益性が改善する見込みが見つからなければ、投資対象には入らないかなと言ったところ。

 

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