最終更新:2020年9月16日
グランディーズとはどんな会社
- グランディーズは大分県が地盤の不動産会社である。
- 主に、建売住宅、投資用アパート、投資用マンションを販売している。(投資用マンションとは、購入者が居住するのではなく、第3者に貸し出して家賃収入を得たり、売却することで利益を得るためのマンションである。)
- 本社は大分県であるが、福岡、香川、松山、宮崎など九州・四国に展開している。近年は、大分が頭打ちとなり、大分以外に拡大中である。
- 2019年時点では、売上の67%が建売住宅、25%が投資用不動産である。その他8%となっている。その他は不動産賃貸管理業として、仲介手数料、営繕工事などを行っている。
- 主力の建売住宅販売では、年収300万円前後の客に対して1800万円前後の建売を販売するという「ローコスト建売販売」を戦略としている。
上場:2012年12月
セグメント構成:建売住宅販売67%、投資用不動産販売25%、その他8%
グランディーズの過去の業績推移
売上高の推移
- 2015年以降、売上高は右肩上がりで、年平均11%の成長率。
- 建売、投資用不動産ともに比較的順調に伸ばしてきたようだ。
- 上図は建売住宅の販売数推移である。こちらが基本的に右肩上がりとなっており、売上高は、概ね販売戸数に連動しているようだ。
- 2020年上期は新型コロナによる経済停滞の影響を大きく受けて、販売戸数が半期で34戸と減少した。通期でも前年比で減少がほぼ確実だ。
- 販売戸数の減少により、上期の売上高は7.6億と前年同期比で20%減と大きく減速した。通期でも壊滅的な決算となることが想定される。
営業利益推移
- 営業利益は2015年から2019年にかけては基本的に右肩上がりである。
- 営業利益率も安定して15%前後と優秀である。
- ただし、2020年上期は営業利益0.16億と前年同期比84.5%減と壊滅的となった。
EPS推移
- EPSも営業利益上昇に準じて、基本的には上昇傾向。
- 2020年は利益縮小で8円ほどに縮小する見込み。
ROE推移
- 経営の上手さを表す指標であり、10%を超えると優秀とされるROEだが、直近の5年間は15%前後と優秀である。
株価推移
- 直近5年は、特に方向感の無い動きが続いている。
- 2016年2月に底値250円をつけてから、事業拡大で株価も上昇し2018年4月で高値607円をつけた。
- その後、2019年12月に598円と直近高値をつけたが、コロナの影響で下落し、現在は366円。
- 2019年のEPS66.5円を用いると、PERは5.5倍。コロナ前の売上高に戻せるならという条件付きで、数値上は割安に見える
- ただ、2020年の推定EPSである8円を用いると、PER45.75と一気に割高になるので、今後売上を戻せるかどうかが鍵となる。
経営計画・今後の展望
- 2019年12月期決算での経営計画では、「積極的な採用活動で販売戸数の引き上げに注力」、「新規営業所の出店」等をあげていた。
- また、「ローコスト建売販売」のポイントとして、①地方中核都市の年収300万円の顧客にターゲットを絞ること、②仕組み化によりコストを抑えることを挙げている。
- ②の仕組み化として、年間100件の建築確認申請を本社社員が1人で行なっていることや、未経験の高卒2年目社員が年間60件の現場監督を行なっていることなどが記載されている。高収益はこのような徹底した人件費の削減によるものであるとのことだ。ただし、これは個人への依存度が高くリスクも大きいと感じている。もちろん、規模の小さい会社で仕方ない部分はあると思うが、好感は持てない。
- 今後の展望として、現状の消費の落ち込みなどから、不動産購入数がコロナ前に戻るにはかなり時間がかかりそうである。
- 仮に業績を戻せたとした場合、大分県への建売販売は飽和しているものの、他県への拡大余地はまだあるので、将来的には最高益更新の可能性もある。
配当・株主優待
- 配当金2019年で14円。現在の株価である366円で利回りを計算すると3.8%。
- ただし、今季は配当金を未定としており、減配もしくは無配転落の可能性がある。
- 株主優待は提供していない。
まとめ・投資判断
- コロナ前までは、基本的に売上も営業利益も右肩上がりであり、営業利益率15%前後、ROE15%前後とかなり優秀な経営であった。
- しかし、コロナで致命的なダメージを受けてしまい、大きく後退した。
- コロナ前の業績に戻せるなら、大分以外の事業規模はまだ小さいので拡大余地は十分にある。
- ただ、長期的に見ても、日本では人口減少(特に地方で)は確実だし、日本の平均年収も下がり続けており、不動産を買える余力がある人も減ってくる。そのため、不動産業界自体にあまりいいイメージがない。
- 同社はターゲットを絞り込んでいるし、市場に対して占める規模もまだ小さいので、市場が縮小しても事業を伸ばせる余地はあるが、それでも大きく成長するイメージはない。
- コロナ前のEPSで算出したPERは5.5倍と数値上割安には見える。業績を戻せると判断するならばバリュー株としてリバウンド狙いで買うというのはありだろう。
- ただ、個人的には、マザーズ銘柄に投資する意味としては、そもそも高成長銘柄を狙いたい意図があるので、直近4年の年率平均11%の売上上昇では、投資対象としてはもの足りない。(もちろん、11%の売上成長率は立派だが、マザーズ市場にはこれを超える銘柄は山ほどあるので。)
- したがって、①現状からの回復には時間がかかりそうなこと、②長期的に見て成長性の小さい業界であること。③直近の売上成長率が11%と他のマザーズ銘柄に対してそれほど優位で無い点。④特定の個人の能力に依存した「ローコスト戦略」に好感が持てないこと、などから投資判断としては「見送り」としたい。
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